発端は小木ちゃんからの電話だった。小木ちゃんが僕と電話したことをツイッターに書いて、僕の名字をしつこく方々のSNSで検索していた元同僚がそれをみつけ、僕の元彼女に伝えた。以下同様に、僕の音信不通以来僕を探していた人達からの着信がにわかに激増し、切羽詰まった僕はケータイを変えた。番号を変え、メールアドレスを変えた。結果、古来ゆかしい連絡手段が復活し、数通の手紙が実家に届き、二人の女が僕より先に実家におり、僕は今帰省した。女の一人はこの家を知っていて、もう一人ははじめてここにきて、なおかつもう一人僕のつぎに僕の実家にやってきた。中学校の恋人だった。つまり三人の元恋人たちが、僕と、父と、母の遺骨と共に数日過ごすことになったわけで、僕は正直、話をするには最悪な状況だけれど、何回かはセックスできるだろうな、とも、思っていた。